執筆者
医療法人・クリニックの M&A・事業承継廃業と戦略・予防法務
弁護士:八木啓介
弁護士八木 啓介 Keisuke Yagi
医療法人・クリニックの事業承継(医業承継)は、親族内承継と第三者承継の2種類に区分することができます。
親族内承継は、院長先生がご自身のご子息・ご息女をはじめとする親族に対し、病院・クリニックの経営権を承継するものです。かつては医療法人・クリニックの事業承継といえば、親族内承継が主流でした。
一方、近時急速に件数が増加している第三者承継は、病院・クリニックの経営権を第三者に承継するものです。
第三者承継は事業承継の一種ですが、その実態はM&Aに近いこともあり、第三者承継を「事業承継型M&A」と表記することもあります。
ここでは医療法人・クリニックの第三者承継の手続や注意点について確認したいと思います。
医療法人・クリニックの第三者承継の実行に必要となる手続は、選択するスキームによって異なりますが、医療法人・クリニックの経営者の立場から見た場合、以下のプロセスで進むことが一般的です。
なお、承継先の候補が複数かどうか、承継先が当該病院・クリニックで執務している医師・歯科医師であるかどうか等、案件の性質に応じて省略されるプロセスもあります。
なお、上記⑪の事業承継の実行に向けた準備の具体的な内容は、スキームや個々の案件に応じて異なります。例えばスキームとして事業譲渡や合併を選択した場合は、実行に先立ち承継先において定款変更を行うことにつき当局の認可を取得する必要があり、かかる認可の取得も⑪に含まれることになります。
第三者承継はM&Aと同様に、高度かつ専門的な取引です。また、多くの病院経営者にとって、一生に一度きりの取引ですので、第三者承継を進めるにしても、何に注意すればよいのか分からないという方がほとんどではないでしょうか。
よくあるご相談の1つが、承継先から提示された条件の変更に関するものです。
上記のプロセスの一例にも記載しておりますが、承継先から提出される意向表明には、デュー・ディリジェンス(DD)の実施前に提出される初期的な意向表明と、DDの実施後に提出される最終意向表明の2種類があります。
初期的な意向表明には法的拘束力がないことが一般的ですので、そこに十分な譲渡対価の支払や、満足できる内容の事業承継の実行後の待遇などが記載されていたとしても、その条件は確約されたものではありません。にもかかわらず、その内容が実現されると信じてDDの対応を進めた結果、最終意向表明では当初の提案から大きく異なる内容が記載されていることは珍しくありません。
経営者側としては、初期的な意向表明は法的拘束力を持たない以上、最終意向表明における提案が不利な内容になることも念頭に置いた上で、DDの対応を進めるか否かを判断する必要があります。
上記は一例ですが、「こうなると事前にわかっていればやらなかった」とならないように、第三者承継を安全に実行するためには、弁護士・税理士をはじめとする事業承継の専門家のアドバイスを受け、各プロセスにおけるリスクを理解した上で、次のプロセスに進むか否かの判断をすることが重要となります。
当事務所では、医療法人・クリニックの第三者承継を多数サポートした経験を有する八木啓介弁護士を中心に、経営者、承継先のいずれにつきましても、スキームの構築、デュー・ディリジェンス、最終契約の作成・交渉、事業承継の実行に至るまで、第三者承継のプロセス全体をサポートしております。
八木啓介弁護士は大手法律事務所のM&Aチームでの経験に加え、国内最大の証券会社である野村證券株式会社のM&Aアドバイザリー部門でフィナンシャル・アドバイザーとして勤務した稀有な経験を活かし、第三者承継の安全な実行に向けたアドバイスの提供や、承継先との交渉を行っております。
また、当事務所は第三者承継の税務を熟知した税理士とも連携し、税務の面からもワンストップで医療法人・クリニックの第三者承継をサポートしております。
初回相談は無料で承っておりますので、医療法人の第三者承継でお悩みの方は、お電話または問い合わせフォームより、お気軽にご連絡をいただけますと幸いです。