執筆者
医療法人・クリニックの M&A・事業承継廃業と戦略・予防法務
弁護士:八木啓介
弁護士八木 啓介 Keisuke Yagi
厚生労働省から公表されたデータによると、日本では1年に数千件の医療法人・個人医院が廃業・閉院を余儀なくされており、この背景には業績の悪化のみでなく、後継者不在などの構造的な問題があると思われます。
ご自身が経営されている医療法人・クリニックについて、やむを得ない理由で廃業・閉院の手続を進めるとなった場合には、一定の行政手続を履践していただく必要がありますが、医療法人と個人開業のクリニック(以下、単に「クリニック」と記載します。)では必要な手続が異なります。
そこで、医療法人とクリニックのそれぞれにつき、必要となる行政手続のうち主要なものと、当該手続における留意点を以下に記載いたします。
医療法人の清算手続の中核となるのは、都道府県知事による解散の認可の取得手続です。
医療法人の「解散」とは、法的に医療法人が消滅(これを「清算」といいます。)する上での原因を意味し、医療法第55条第1項が以下のように定めています。
第55条第1項
社団たる医療法人は、次の事由によつて解散する。
上記の医療法第55条第1項に規定される解散事由のうち実務上よくみられるものは、第3号の社員総会の決議による解散と、第5号の社員の欠乏(社員が1人も存在しなくなること)による解散です。
そして、医療法第55条第6項は、「第三号に掲げる事由による解散は、都道府県知事の認可を受けなければ、その効力を生じない」とし、社員総会の決議による解散については、都道府県知事の認可を、その効力発生要件として規定しているのです。
かかる都道府県知事による解散の認可に加え、診療所の廃止届やエックス線の廃止届などの提出も必要となりますが、最も注意が必要なのは、都道府県知事による解散の認可となります。
上述したとおり、医療法人の清算手続においては都道府県知事による解散の認可を取得する必要があり、スケジュールを検討する上でも解散認可を取得するタイミングが重要となります。
そして、都道府県知事による解散の認可は、申請すればすぐに取得できるというものではありません。
というのは、医療法第55条第7項は、都道府県知事による解散の認可について、「都道府県知事は、・・・あらかじめ、都道府県医療審議会の意見を聴かなければならない。」と規定しており、医療審議会による審査を前提としているためです。
「医療審議会」は各都道府県に設置されているところ、その開催頻度は1年で2回ということが多いため、認可申請のタイミング次第では、次の医療審議会の開催まで約6か月待たなければならないことになります。
また、この点は各都道府県によって異なりますが、多くの場合、解散認可の申請を正式に行う前に、当局に対して事前相談を行い、書類に不備がないか、清算手続が途中で頓挫するようなことはないかといった点を確認してもらい、問題が無ければ正式に申請するという流れとなります。
そのため、次の医療審議会の開催まで数日しかないようなケースでは、正式な申請を行うことができないといった事態もあり得ますので、まずは医療審議会の開催日程を確認し、そこから逆算して清算手続のスケジュールを組むことをお勧めいたします。
医療法人とは異なり、個人開業のクリニックが廃業・閉院する上では、都道府県知事による認可は不要となります。
診療所の廃止届やエックス線の廃止届などを、定められた期限までに提出することで足りますので、比較的スムーズに廃業・閉院の行政手続を進めることができます。
当事務所では医療法人・クリニックの廃業・閉院手続を多数支援した経験を有する弁護士が、経営者の皆様をサポートしております。
また、上述した医療法人の清算手続において必要となる都道府県知事の認可取得などの行政手続については、当該手続に詳しい行政書士と連携しワンチームで廃業・閉院手続を支援いたします。
医療法人・クリニックの廃業・閉院手続でお悩みの方は、ぜひ当事務所までお問い合わせください。
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