2026.02.24

近年、病院・クリニックの事業承継の手段として、医療法人を対象としたM&Aが活用される場面が増えてきております。特に後継者不足の問題が顕著な都市部以外の病院・クリニックでは、一定の規模を有する医療法人のグループに入ることで、地域医療・看護師をはじめとする医療従事者の雇用を守ることができるというメリットもあるため、今後も医療法人を対象とするM&Aのニーズは高まっていくものと考えられます。
他方で、医療法人を対象とするM&Aは専門性が高く、複雑な取引であるため、本来であれば専門家の助言を受けながら進めることが望ましいところ、残念ながら医療法人のM&Aに精通した専門家の数が限られていることもあり、全ての医療法人M&Aに専門家が関与している状況ではありません。その結果、M&Aの実行後にトラブルが生じ、円滑な業務の引継ぎが行われない可能性が生じてしまいます。
当事務所では医療法人M&Aの実行後のトラブルに関するご相談をいただくことも多いため、本コラムでは、医療法人M&Aの実行後に生じる典型的なトラブルの内容、トラブルが生じる原因、及びそのようなトラブルを回避するための方法について、当職の考え方を紹介させていただきます。
医療法人M&Aの実行後に生じるトラブルの内容は様々ですが、典型的なものとしては以下のものがあります。
上記のうち①・②は契約違反の問題であり、金銭による解決が可能なものですが、③・④・⑤は契約でカバーされない事象であることも少なくありません。
さらに言えば、上記③・⑤は当事者間の話し合いのみでは根本的な問題の解決には至らない類のトラブルであり、本来であればM&Aを実行する前に対策を講じておかなければならないものです。
M&Aに関するトラブルというと金銭的なものを想定されることが多いかと思われますが、必ずしもそうではなく、金銭をもってしても解決できないトラブルが発生することもあり、場合によっては「こんなことになるならM&Aをするべきではなかった」という事態となり得ることには注意が必要です。
次に、医療法人M&Aの実行後にトラブルが生じる原因について、当職の考え方を紹介させていただきます。
当然のことながら、最も大きな要因は医療法人M&Aに精通した専門家のアドバイスを受けないことですが、トラブルが生じた原因を分析すると、以下のような原因であることが少なくありません。
M&Aは取引行為ですので、トラブルが生じた場合には契約に従って処理することが基本となりますが、そもそも契約内容を理解していなかったり、自らの望む条件が契約に反映されていないにもかかわらず契約を締結してしまうという初歩的なミスが頻繁に起きているのが実情です。
たとえ契約内容が自らに不利な内容であったとしても、締結した以上は原則として自己責任となりますので、最終契約の締結前には一度立ち止まって、「本当にこの内容で契約を締結してよいのか」と考え、場合によってはそのタイミングからでも専門家のアドバイスを仰ぐ方が望ましいと考えられます。
それでは、医療法人M&Aの実行後のトラブルを回避するためにはどうすればよいのでしょうか。
医療法人M&Aの当事者は基本的には医師・歯科医師ですので、専門家による適切なアドバイスを受けることができれば、それを踏まえてリスクを分析し、判断することが可能なケースがほとんどです。
そのような意味においては、必要なタイミングで専門家に相談し、どのようなリスクがあるのか、それを回避する方法はあるのか、回避する場合にはどうすべきか、といった事項について、自らが十分に理解した上でプロセスを進めることが、トラブルを回避する上での最善策と言えます。
M&A、特に医療法人を対象とするM&Aを自らの判断のみで進めることは、医師免許の無い人間に外科手術を任せるようなもので、大きなリスクがあることにご留意いただければと思います。
本コラムでは、医療法人M&Aの実行後に生じる典型的なトラブルの内容、トラブルが生じる原因、及びそのようなトラブルを回避するための方法について、当職の考え方を紹介させていただきました。
M&Aは非日常的な取引ですので、いざ専門家に相談しようとしても、ご自身の周りに適切な専門家がいない場合もあると思われます。
当事務所では、医療法人M&Aを多数サポートした経験を有する複数の弁護士が、公認会計士・税理士とも連携し、医療法人M&Aのプロセス全体をサポートしております。
売主・買主のいずれについてもサポートしておりますので、医療法人M&Aに関してお悩みの方は、お電話またはトップページ末尾のお問い合わせフォームからご連絡をお願いいたします。
※本コラムの内容は、一般的な情報提供であり、具体的なアドバイスではありません。お問い合わせ等ございましたら、当事務所までご遠慮なくご連絡下さいますよう、お願いいたします。