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2025.04.17

M&A弁護士コラム「相続した医療法人持分の換価」

医療法人の理事長である医師につき相続が開始すると、相続人が医療法人の持分を相続することがあります。

この場合、相続人が当該医療法人の経営に何ら関与していない場合、相続した持分をどのように処理するかが問題となります。というのも、当該医療法人の純資産の金額によっては、相続した持分に対する相続税が高額となってしまい、納税資金を確保する必要が生じるためです。

そこで本コラムでは、医療法人の持分を相続した相続人の立場から、持分を現金化するための手法について解説させていただきます。

 

1. 医療法人の持分とは

まず、医療法人の持分について簡単に解説させていただきます。

医療法人には、定款に持分の定めのある医療法人と、持分の定めのない医療法人が存在します。持分の定めのある医療法人は医療法の改正により現在では設立することができませんが、過去に設立され、現在でも持分の定めのある医療法人として存在している医療法人は多数存在します。

そして、持分の定めのある医療法人に限り「持分」という概念が存在するところ、法的には「持分」とは「医療法人に対する出資額に応じて、払戻し又は残余財産の分配を受ける権利」と考えられています。

「持分」に類似した概念として医療法人の「社員」という地位がありますが、「社員」と「持分」は異なるもので、医療法人の社員の地位は相続の対象にもなりません。

「社員」とは異なり「持分」は上記のような金銭的な請求権であることから、相続の対象となります。

 

2. 持分を現金化する方法

持分を金銭に換価するための方法としては、①医療法人に対する払戻しの請求と、②持分の譲渡の2種類があります。

上記①の持分の払戻請求は、医療法人に対して金銭の支払を請求するものです。この場合に医療法人が支払わなければならない金額は、払戻請求を行った時点の医療法人の純資産を基準に算定されるという考え方が一般的です。

上記②の持分の譲渡は、他の持分権者や第三者に対して持分を売却し、その対価を受領するものです。なお、株式会社は医療法人の社員となることはできませんが、医療法人への出資は可能であるため、株式会社に対する持分の譲渡も可能と考えられています。持分を譲渡する際の金額については、医療法人の法人としての価値を算定し、算定された価値に持分割合を乗じる方法などがあります。

上記①・②はいずれも持分を現金化するための手法ですが、①は医療法人に対する請求、②は持分の売却ということで、現金化するための過程はかなり異なります。

特に①は医療法人の運営・資金繰りに大きな影響を与えることもありますので、予めシミュレーションを行い、相続人のみでなく、関係者を含めた全体にとって利益となる手法を選択されることが望ましいと考えております。

 

3. まとめ

本コラムでは、相続により取得した医療法人の持分の現金化の手法について解説させていただきました。

当事務所では医療法人のM&A・事業承継に詳しい弁護士が、相続により取得された持分の処理をサポートしております。

ご自身が経営に関与されていない医療法人の持分を取得したが、どのように処理すればよいか分からずお悩みの場合には、お電話またはトップページ末尾のお問い合わせフォームからご連絡をお願いいたします。

 

※本コラムの内容は、一般的な情報提供であり、具体的なアドバイスではありません。お問い合わせ等ございましたら、当事務所までご遠慮なくご連絡下さいますよう、お願いいたします。